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生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

外来でアルコール性肝障害の患者をみて思ったこと

医療

C型肝炎は、経口剤がでてきて、いよいよ制圧が夢ではなくなってきた。

ダクルインザ+スンベプラ、ハーボニー、ヴィキラックスなど覚えにくい名前の薬ばかりだが、効果は高く、何人かに使っているが、副作用も少ない。

インターフェロンを使っていたころは、副作用が強く、外来でしんどいしんどいという患者を宥めながら、続けていた。

 

しかし、折角ウィルスが消えて、少なくともC型肝炎ウィルスで肝硬変になることはなくなったのに、安心してアルコールを飲みだす人が多い。ほどほどならいいが、肝酵素が上昇するくらいまで飲む人もおり、外来にそういう人が何人かいる。勿論C型肝炎がなくて、アルコール性肝障害の人や、ひどい場合、黄疸が出ている人もいる。

今日もこういう人が数人いた。

 

アルコールを飲むのに色々理由があるのはわからないでもない。一個人としては、人が酒を飲もうが飲むまいが、迷惑さえかけられなければ、どうでもいいといえばどうでもいい。

自分の意志で飲み続けて、太く短く生きるというのも、その人が納得していればそういう人生もあると思う。しかし、そういう人は救急搬送される以外は病院に来ることがあまりない。

 

医師としては、病院に来ている人に「好きに飲みなはれ」とは言えず、肝硬変、肝癌のリスクを説明し、禁酒や減量を説明しないといけない。目の前で患者が悪くなっていくのを見たくない。

それでも飲むのなら自己責任でと言わざるを得ない。アルコール性肝障害に関しては止める以外に治療がない。

 

禁酒、減量はなかなか大変だ。お酒好きな人が外来でちょっと医師に注意されたくらいでやめてくれることはまずない。何度言ってもγGTP3桁~4桁、肝酵素3桁で平気で病院に来る人も少なくはない。

血を吐いても、癌ができても、膵炎になっても飲む人は飲む(昔アルコール性膵炎の人が、生命保険の用紙を4つもってきた時は、そんなに保険に入るくらい命が惜しいのなら飲むのをやめなさいと思わず言ってしまった)。肝硬変が進んで、体調不良となり、お酒がおいしくなくなったと言って来る人もいる。

 

医師になってアルコール性肝硬変で亡くなった人を何人も見てきたが、皆ミゼラブルな経過をとる。

「肝臓が頑張っているうちはいいけど、頑張れなくなったら悲惨ですよ、血は吐くし、おなかに水が溜まってパンパンになるし、頭はぼーっとするし。癌がない場合、苦しい状態が長く続きますよ。」

こう言っても、なかなかイメージがわかないらしく、あまり伝わらない。

 

アルコールで肝臓だけが悪くなるわけではない。アルコールで顔がすぐ赤くなる人(フラッシャー)は食道癌になりやすいが、そういう人に内視鏡治療をしようとすると、麻酔で抑制が取れて大暴れすることがある。そのため、これまでも何人か、全身麻酔をかけて手術室で食道癌の内視鏡治療を行った(麻酔がかかってしまえば楽だが、段取りが大変)。

 

アルコールは急性膵炎の原因にもなりうるが、膵炎は怖い病気で重症膵炎になると亡くなってしまう人もいる。誰がどう比べたか知らないが、膵炎の痛みは痛みの中でも一二を争う痛みと言われている。

 

アルコールを多飲することでビタミンB1不足になり、ウェルニッケ脳症(意識障害、運動障害など多彩な症状が出る)になることもある。ひどい場合は戻らない場合もある。

 

僕自身、アルコールをほとんど飲まないので、お酒のみの気持ちがあまりわからず(奥さんがなくなったという人の肝酵素が高かった時はさすがに注意できなかったけど)、禁酒指導に愛はあまりなく、相当ドライなものだと思う。

実際、黄疸がでるまで飲んでいるおばあちゃんに外来で切れられたことがある(この若造が、偉そうにと言われた。こちらも間違っていないと思っているので、怒鳴りあいになった。その後、普通に外来に通院しており、アルコールは減って、黄疸も大分よくなった)。

 

眠れなくて飲んでしまう→アルコールによる睡眠は浅くて、質が悪いですよ。すぐに目が覚めることが多くないですか?

暑いから飲んでしまう→暑かったら、冷たいお茶やジュースを飲めばよくないですか?

先生、お酒飲まないの?人生の半分損してるよ→(この人生の半分損してるという表現嫌いやわ~。ていうか、酒が人生の半分を占めてる方が嫌やわ)そうですかねー、ハハハ。

 

こんな理詰めの説明が、逆効果なことはよくわかっている。しかし、どうしても言ってしまう。

完全にやめた方がいい人にも、まずは休肝日を作るようにというところから始めるし、これ以上飲むと危ないという人は、家族も来させて、家族ぐるみで禁酒を勧める。断酒会もあるが、断酒会に行ってくれる人はあまり多くない。

 

どうすればいいのか、正解はまだわかっていない。しかし、僕は外来で同じことを言い続けるだろう。可能な限り、腹水を抜くためにおなかに針を刺したくないし、デンバーシャント(体の中に入れる腹水を血管に戻す管。効果は高いが、合併症がある)も入れたくない。

 

C型、B型はある程度抑え込めるようになってきた今、肝硬変の原因として制するべきはNASH(脂肪肝のひどいもの)とアルコール性肝硬変だ。

皆、γGTPが上がらない程度にほどほどに飲んでくれればいいのに。

 

昨日は息子と一緒にいろいろ歩き回って(息子は途中で友達とあい、遊びに行ってしまったが)、20000歩を超えた。本日は4000歩ほど歩き、体重は88.3㎏だった。内視鏡の説明会があり、弁当が出たので、夕食後の体重。ぼちぼちかな。