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生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

ワルファリンで殺人が可能か?

今日は健康診断があった。これまで何回かやっており、今日が最終日であった。うちの科で行っていないのが二人だけだったので、部長に、必ず行くように、行かないと理由書を出さないといけないと言われた。

どこか体でも悪いのか?だから行きたくないのか?結果は病院には知られないよと言われたが、調子が悪ければむしろ率先していく(笑。単に曜日と時間が合わなかっただけだ。

 

まず尿検査。容器がしょぼくていきなり破損したが、なんとか惨事にはならずにすんだ。体重が80.8kgと前年よりかなり減った(服脱げば80kg切るかな?と思ったが、さすがに我慢した)ので、えらい減ってますねと色んなところで言われた。

去年は体重やウエストが増えていた(その前に受けたのが5年以上前であったため)ので、計る人に「これでいいですか?」と何度も聞かれた。

 

ていうか、これでいいですか?ってなんやねん。

あかんって言うたら、減らしてくれるんかいな。その聞き方はおかしいと思ういらだちと恥ずかしさで、複雑な感情であった。傷に塩を塗らんでいい。厳然たる事実なんだから、粛々と無言で進めてほしい。

今年は体重やウエストが減り、それを言われた時はいい気分だった。とんだご都合主義(笑。

 

しかし、ウエストはまだ90cmを越えている。腹囲だけで、メタボリックシンドロームと診断するわけではないが、男性85cm、女性90cmという基準は正直疑問だ。簡便ではあるが、体格や身長の要素がまったく考慮されていない。

背が低ければ腹囲が85cm以下でも、内臓脂肪が多いこともありうるし、逆もまた然りだ。僕のお腹はまだぷにってるんで、もう5cmは減らせると思うけど。

 

今、『街角で謎が待っている がまくら市事件』を読んでいる。少し前に米澤穂信の『王とサーカス』を読んだ。同作者の『さよなら妖精』の続編であるが、登場人物が同じであるものの、話としては全く関係ない(前者はユーゴスラビアがらみ、後者はネパールがらみ)。

ユーゴスラビアに興味を持った時期に、色々調べて『さよなら妖精』を知った。読後感は悪くはないが、切ない話だった。

『街角で謎が待っている がまくら市事件』はアンソロジーで、『さよなら妖精』の後日談も載っていると知ったので、最近購入した。

 

まだ後日談まで到達していないが、別の話で、んんん?と思うことがあった。

大学の同窓生4人が食事をしていて、そのうちの1人が食事中に死亡する。引っかかったのは死に至る経緯。

死亡した人は、心筋梗塞の既往があり、ワルファリンを飲んでいる。ワルファリンは抗凝固剤で、血を固まりにくくする作用がある。心房細動の人や心臓の弁を機械弁に置換した人などが飲む(心筋梗塞ではアスピリンやクロピドグレルといった抗血小板剤を飲んでいることが多い印象)。エコノミークラス症候群もそう。

食べ物か飲み物にワルファリンの効果を増強するビタミンEをいれて、脳出血を起こさせた(と書いてある)。耳から出血しているのを見て、脳出血であると同席者が気づく。状態がおかしくなり、紙を取り出して、ダイイングメッセージらしきものを書いて息絶える。ほぼ即死状態だ(心臓が止まっていると聞いた同席者が、心臓を再起動できないか?と言うが、PCじゃないんだから再起動はどうかと思う)。

 

まず外傷性でない脳出血は耳出血しない。 

食事中にほぼ即死状態であるため(クモ膜下出血だろうか)、外傷はない。研修医の頃、髄膜炎(内耳炎だったかな?)が増悪して、耳から髄液がでてきた人を見たことがあるが、通常は頭蓋底骨折でもしない限り、脳出血は耳から出血しないし、外傷のない耳出血を見て、脳出血をまず疑う医者はいない。

 

次にワルファリンで都合よく脳出血を起こさせることはできない。

添付文書を見ても、ビタミンEは併用禁忌や注意とはなっていないが、恥ずかしながらビタミンEが、ワルファリンの効果を増強させることは知らなかった。効果を減弱させるビタミンKは注意(納豆、クロレラ、青汁は摂取したらダメ。グレープフルーツも以前言われていたが、これはガセ)するが、効果増強は薬剤くらいしか気に留めていなかった。

アルコールがワルファリンの効果を増強すると短編には書いてあるが、添付文書には慢性飲酒で効果は減弱し、アルコールによる肝機能低下は効果を増強すると書いてある。

 

http://att.ebm-library.jp/conferences/2015/aha/a07.pdf

上のサイトにもあるがワルファリン(やNOAC改めDOAC)による出血で最多なのは、頭蓋内出血ではなく、消化管出血である。我々も、ワルファリン効きすぎの消化管出血を診ることが度々あるが、正直あまり重篤な出血ではなく、バイタルも落ち着いていて、だらだら出ていることが多い。頭蓋内出血は重篤になりうるが、頻度は低い。

脳に基礎疾患があればともかく、ワルファリンの効果を増強させ、脳出血を起こして死に至らせるというのは無理がある。

 

そもそも、そんなに簡単に脳出血を起こさせる薬など危なくて使えない。

現実は、ワルファリンはそこまで危険な薬ではなく、厳密なコントロールをされずに出しっぱなしにされていることが多い。プロトロンビン時間(PT-INR)でワルファリンの効果を判断することができるが、ワルファリン服用者のPT-INRを内視鏡前に調べると、治療域に入っていないことは珍しくない。

 

あまりにひどかったので、思わずつっこんでしまった。他にも気になる点がいくつかあるが、きりがないのでやめる。医者の監修を全く受けずに想像で書いたとしか思えない。いくらフィクションでも整合性が無さ過ぎる。

 

今日の体重は80.7kg。 カンファで出た弁当を食べた後に計ったが、80kg代をキープできた。家に帰ってきてから小腹がすくので、コンビニでモヤシを買ってきて炒めていたら、子供たちがハイエナのように群がってきた。