呼ばれないのをいいことにさらに書いてみる。
消化器内科は、食道から肛門までの消化管(最近は咽頭や喉頭も守備範囲に入っており、何度か咽頭癌のESDをしたことがある)に加え、肝臓、胆道、膵臓といった臓器も守備範囲に入る。
内科というと、あまり手技をせずにデスクワークのイメージが強いかもしれないが、消化器内科は循環器と並んで手技が多い科で、そういう意味では外科よりだ。
仕事のウェイトに対する僕自身のイメージとしては、
内視鏡や血管造影>>>>>>>>病棟>外来
となっている。
これだけ見る臓器が多いと、必然的にその中でもやることが別れてきており、スタッフは大きく分けると消化管グループ(4人)、肝臓グループ(2人)、胆膵グループ(2人)に分けられる。若手や専攻医は満遍なく行っている。
化学療法は以前は自分たちでやっていたが、腫瘍内科ができてからは一部を除いて任せている(腫瘍内科には元消化器の先生も多い。うちの部長が腫瘍内科を作ったようなものなのに、化学療法の収益がいいことに気付き、また取り返そうとしてすったもんだしている)。
消化管の手技(止血術など皆が行うものは除く)
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術):胃、食道は僕を入れて3人が専攻医や若手の指導や施行をしている。大腸は難易度が高いので僕を入れて2人が術者となり、専攻医にはさせていない。
消化管狭窄のバルーン拡張:主にやっているのは僕を入れて3人だが、専攻医や若手にもさせている。
胃や大腸のポリープ切除:消化管グループが主だが、ESDほど限定されていない。難易度が高くなければ専攻医も行っている。
超音波内視鏡(消化管):消化管グループの一部や胆膵グループが行っている。
PEG(胃ろう):消化管グループの1人と若手医師と専攻医が主にやっている(僕も専攻医の頃はよくやったが、最近は内視鏡持ちを時々する程度)。
小腸内視鏡:僕を入れて2人と若手1人が行っている。
カプセル内視鏡:僕を入れて2人と若手1人が行っている。
胆膵の手技(PTGBDなど皆が行う物は除く)
ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影):主にやっているのは胆膵グループで、専攻医も指導のもと行っている。消化管グループの一部も基本的な手技は行える。
術後胃のERCP:バルーン内視鏡を使うので僕と胆膵グループの1人で行っている。
超音波内視鏡(胆膵):胆膵グループが行っている。僕も大きな膵のう胞がある担当患者を自分であてたりすることはあるが、はっきり言って苦手。
超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA):胆膵グループが行っている。僕は胃の粘膜下腫瘍で数回術者になったことがある程度。これも苦手。
経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD):肝臓グループと胆膵グループが主に行う。消化管グループは基本的に行わないが、僕は特別難易度が高くなければできる。
肝臓の手技(肝生検など皆が行う物は除く)
TACE(肝動脈化学塞栓療法):肝臓グループが主。それ以外に胆膵グループの1人と僕が肝臓専門医だが、これも特別難易度が高いもの以外は自分で行っている(最近は症例が減ったが)。
RFA(ラジオ波焼灼療法):TACEと同様で、肝臓グループが主だが、標準的なものは自分で行える(機械が新しくなったので設定は頼っているが)。
僕が行えるものは太字にしてみた。こうやってみると、僕は色んなところにいっちょ噛みしている。他の皆を見ると、確固とした軸を持って、さらに+@を行っている印象だが、僕にはその軸がない。強いて言えば小腸内視鏡だが、これは消化器の中でも隙間産業で、うちのような大病院には集まってくるが、一般的にはそこまで需要が高くない。
一般論として、関東の医師は専門性が高く狭い分野に特化し、関西の医師はとりあえず色々やるという傾向があるらしいが、まさに僕は関西の医師だ。
なんでもできますねと言われることもあるが、逆にいえば何もできない。一番色々なことに手を出しているが、器用貧乏だと自分でも思う。
長くなったので一旦ここで切る。