生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

救急車の有料化の難しさと救急車がらみの患者の思い出

昨日セレナが届いた。子供たちは広い広いと喜んでいた。

その夜、嫁さんが幼稚園の役員の打ち上げに行くため子守をしていた。部長に全員参加するように言われていた研究会を途中で抜けて、子供たちとスーパーで夜ご飯を調達した。終わってから嫁さんを車で迎えに行ったが、酒臭かった(笑。

 

医療費が増大し、タクシー代わりに使う者がいたりして、救急車を有料化するべきだという意見を時々見かける。

医療者の側として、こんなんで救急車呼ぶか?と思うことは確かにある。しかし、有料化することによって、救急車を呼ぼうという意志が抑制され、呼ぶべきであった患者が不幸な転機をたどることは許されない。

救急車を呼ぶべき症例は無料にし、そうでない軽症例や悪質な例は有料とするという意見もみるが、これも難しい。まず、有料と無料の線引きをどこにするか、また誰がその判断をするのかという問題がある。

有料無料の線引きを入院の有無で区別するのも一つだが、入院しないからといって軽症とは必ずしも言えないし、入院したから重症ともいえない。デジタルに区別する基準を作るのは難しいということは、その判断も非常に難しいということになる。

現場の医師に判断しろという意見もあるが、僕はこれには反対だ。絶対トラブルが頻発するし、診療以外のことでこれ以上心労を抱えたくないという気持ちもある。

 

有料化するのなら、一律に行うべきだと思う。本当に必要な人が救急車を呼ぶことを躊躇せずに、でも悪質な利用の抑制になりうる額を設定できれば良いが、自分で言っててこれは絵空事だなと思う。むしろ、金払うんやからええやんけと、適応外でも呼ぶ人が増える危惧もある。

普通の人は、救急車を呼ぶということにハードルを感じるだろうが、変に悪擦れして、呼びまくる人がいるのは事実だ。

大体こういう時はアメリカがよく引き合いに出されるが、アメリカの救急車は有料だ。しかし、医療レベルはともかく、システムに関しては日本の方がだいぶましだと思っているので、有料がいいとも言えない。医者用のサイトでも、意見は千差万別だった。僕自身はっきりとした答えを持ち合わせてはいない。

 

少し話がずれるが、救急車で印象に残っている話がいくつかある。一番印象に残っているのは、父親がトイレに4時間はまっていたため、息子が救急車をコールした症例。助けもせずに4時間見守って、困った挙句に救急車を呼んだらしい。父親は老年で息子は中年だった。

搬送された時は、意識がもうろうとしていたが、点滴をして元気になった。息子はERでも「お父さん、だいじょうぶう?だいじょうぶう?」と漏れた屁のような口調でずっと繰り返していたが、元気になった父親に「おまえ、うるさいねん。」と一喝されていた。最後は、ERの看護師に「ねえちゃん、べっぴんやなあ。」と言って帰っていった。

 

次に印象に残っている患者は、入院中の患者だ。10年以上前のことで、なんの病気か忘れたが、悪性疾患ではなかったと記憶している。本人が外泊をしたいと言い、理由は忘れたが、一度は止めた(処置をしてあまり経っていないとかそんな理由かもしれない)。

しかし、かなり強固に言い張るため、自己責任でよければと許可した。有害なことが起これば、場合によっては救急車を呼んでもいいから戻ってきてくださいと付け加えた。これがまずかった。

その翌日に大した症状もないが、少しおかしかったとのことで救急車を呼んで戻ってきていた。救急隊はかなり怒っていたという。それはそうだろう。患者に救急車をなぜ呼んだ?と聞くと、先生が言ったからと言った。

いやいやいや、自分で戻れないくらいの大変なことが起こったらという意味で言ったんですよ、自分で戻れる状況でしょうとかなり強く言った。しかし、これは僕にも非がある。救急車が必要な状態になりうる患者(結局ならなかったが)を外泊させるべきではなかったし、安易に救急車を口に出すべきではなかった。

病気は覚えていないが、この人はかなり失礼な人で、いろいろずけずけ言われた。ほとんど忘れたが、医者なら日曜日も関係なく、1年365日病院に来るべきでしょうと言ったのだけは覚えている。

実際その頃はそんなような生活(病院に行かない日がない月も珍しくなかった)をしていた。週に1回病院に行かない日が作れるようになったのも、ここ3年くらいだ。

病院からあまりに電話がかかってきて、着メロを数か月単位で変えないと、その音が鳴るだけで精神的に強いストレスがかかる状態だったし(穏やかな音楽にしても何の意味もなかった)、ストレスが原因と思われる突発性難聴にもなった。

当時の僕の残業代は3時間2000円、5時間3500円であり、3時間未満ならただ働きで4時間でも2000円という最低賃金なにそれ?の状態だった。ちなみに僕が30年近く前の高校生時に働いていたファミレスの時給が560円だった。

今は残業をきちんとつけていて、かなり楽になったとはいえ、毎月100時間を越えている。当時は今よりはるかに激務であったので、きちんとつければ150時間は楽勝で越えていただろう。

そんな状況で、こんなことを言われた僕は、爆発しそうになった。ほとんどの患者さんは土日も休みないんですね、大変ですねと言ってくれていたが、なんなんだ、こいつは? こういうこというやつに限って、自分はしっかり休んでるんやで。

正直、余りの怒りで逆にあきれてしまって、なんと答えたか忘れてしまった。仕事に私情を交えてはいけないのは重々わかっている。しかし、もともとイラッとしていたが、その瞬間この人が大嫌いになった。もちろん、好き嫌いで治療に手心を加えることはないが、必要最低限のこと以外話さなくなった。

 

話しがそれたが、上記患者のことを書いていると、当時の不愉快な気持ちがわいてきたが、書くことによってカタルシスができた(笑。いつかは、中学での嫌な経験も書いてカタルシスしよう。

 

今日の体重は76.1㎏。もう少し落としてもいいが、最近は減量より筋トレのほうを重視している。もともと体は硬いが、拳法をやっていたころは、また割を繰り返したおかげで、ほぼ股間がつくくらいまでは柔らかくできていた(学園祭で演武をする前に、また割をしていたら、チアガールにすごいと言われた。僕はすかして聞こえないふりをしていたが、全神経は耳に集中させていた)。

今日、また割をしていたらバランスを崩して後ろに倒れてしまい、本棚で頭を強打した。結構痛かったので、声が出てしまったが、皆寝ていたので、一人で悶絶していた。