生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

自分のは良くても他人のは嫌(一部下品な話あり)

うちの病院は急性期病院で、ベッド数が減ったこともあり、慢性期や癌のターミナルは長期間みない(というかみていると、ベッドが到底回らない)。

その中でもうちの科は超急性期であり、平均在院日数は7日前後だったこともある(なぜかポリぺクが勘定されなくなって、一旦腫瘍内科や他院に投げていたケモも一部またやりだしているので、今はもう少し長いと思うが)。専攻医は毎朝、部長の退院、転院プレッシャーにさらされ続けている。

ずっと診てきた人なので、最後まで看取りたいなと思っても、部長が許さない。昔あの手この手で転院を引き延ばして看取ったこともあるが、今は難しいだろう(僕もその元気がないのが正直なところ)。最近ある患者の転院が遅れて、当院で患者が亡くなった時に、担当医と主治医が部長に怒られたそうだ。部長の立場も分からないでもないが、患者を看取るのにはパワーがいるし、怒ることではないだろう。臨床研修病院では一定数のゼク(病理解剖)を取る必要もあるし。

 

そのため、ターミナル状態の患者を見ることがぐっと減り、その上緩和ケア科ができたので、癌性疼痛の管理はそちらに任せている。というか、そうせざるを得ない雰囲気だ。昔のように自分たちでやっていたら、病棟から早く緩和ケア科にコンサルトしろというプレッシャーをかけられる(せん妄や感染症の時もそれぞれの専門家にコンサルトを促される)。

GW中に入院した癌のターミナルの患者に、フェントステープが処方されていたが、効果が今一なため、持続点滴に変更することにした。フェンタニルの処方は久しぶりだったので、テープから点滴に変更する時の換算量はどうだっけ?と調べて処方した。

 

未明に血便患者のコンサルトを受けた。コンサルトしてきた研修医が、ショック状態の血便でアルコール多飲患者と最初に言ったので、食道静脈瘤かと思い聞いていたが、途中でバイタルは落ち付いていますと言ったのでずっこけそうになった。ショック状態なんちゃうの?と聞くと、来た時は血圧が低めであったらしいが、輸液で戻ったらしい。

鮮血がでたエピソードが2週間前にもあり、BUNが上がっておらず、静脈瘤ぽくはない。しかし以前、血便患者に緊急で大腸内視鏡をした時に、大腸全域と小腸まで真っ赤だったことがあった。小腸出血?と思ったが、ためしに挿入されていた経鼻胃管から吸引してもらったら、真っ赤な血液が返ってきた事があり、あわてて上部に変えたら食道静脈瘤だったことがあったので(上部消化管出血が赤いまま出てくる時はすごい勢いで出血している時だが、その人はBUNは上がっておらず、血圧は正常だった)、油断はできない。

本人を診察すると、けろっとしていて血圧も戻り、頻脈にもなっていない。酒を飲んでいるためか陽気であり、診察した時はしびんで排尿していた。終わった時に自分の手でしびんを外し、両手でペニスを触っていた。

血圧低下は脱水か、迷走神経反射か、いずれにせよ、上部消化管出血ぽくはない。エピソードからヘモ(痔核)出血が一番疑わしい。下部消化管内視鏡の説明をし、緊急で行うこととした。

 

口頭で検査内容と偶発症の説明をし、いざ同意書を取ろうと思ったが、ふとそこで気付いた。

「‥そういや、さっきちOこいじっとったな。」

いつもは同意書にサインをさせる時に、自分が持っているipadを下敷きにして書かせるが、なんとなく抵抗があった。状態の悪い人には、代わりにサインすることがあるので、字書けますか?代わりにサインしときましょか?と聞いてみた。

「書けまっせ。」

そう言って手を出してきた。そこは「じゃあ、書いといて下さい」やろう、酔っ払ってるわりに律儀やなと思ったが、反射的にipadと同意書を渡して、寝たままサインさせた。クリップボードを探せばよかったが、後の祭りだった。なんとかボールペンは安物をわたすのが精一杯で、ipadはがっつり握られていた。

後でipadケースの染料が落ちるくらいアルコール綿で念入りに拭いた。自分のちOこなら全く平気だが、他人のは激しく嫌なのはなんでだろう。多分汚さは互角だろうし。

 

全く関係ないが、過激な罰ゲームにはまっていた高校の同級生たちが罰ゲームとして男同士で69を行ったらしい。一人は、いったらダサいだろうと思い、本気でいかさせてやろうとしていたらしいが、それはなかったそうだ。

場所はそのうちの1人の家だったらしいが、奥さんが隣室で泣き崩れていたらしい。そりゃ、旦那が男同士で69してれば泣くわ。関東連合でも敵対チームに男同士で69をさせたという話を聞いたが、彼らは自主的にやっているところが違う。30歳前後の話だが、なにやってんだろう。あいつらにとってゲームはそれ自体を楽しむためではなく、罰ゲームをするための手段と化していた。

その夫婦の結婚パーティーに僕も出たが、かわいらしい奥さんだった。これが原因かどうかは知らないが(一因ではあるだろう)、その夫婦は離婚した。

あいつらの話をすると話がド下品な方向に行くのでもうやめる。

 

酒を飲んで動けなくなっていたらしいが、住所を見ると僕の実家の近くだった。車でも電車でも1時間以上かかる距離なのに、なんでこんなところまで来て酒を飲んでいるのだろうか。職場がこちらですか?と聞いてみたら、職場も家の近くらしい。ここまで来るより梅田や難波の方がよっぽど近いのにますます謎だ。

緊急で大腸内視鏡をしたところ、直腸に少量の血液があるが、深部はきれいだった。下行結腸あたりまで挿入して通常便を確認して戻った。直腸を見ると予想通り、ヘモがあり、一部潰瘍となっていた。観察時には出血がなかったが、露出血管様に見える部位もあったので、クリップしておいた。

会社の同僚が来ており、今後どうなるのか聞かれたので、帰宅可能だと説明すると、酒に酔ってるし、入院させてくれと言われた。

急性アルコール中毒ならまだしも、酒に酔ってるだけで入院させていたらきりがないため、入院適応はないと説明した。

 

3時すぎに寝たのに、6時前に目が覚めたので、これをつらつら書いている。只今7時30分。このまま呼ばれずにフィニッシュできますでしょうか。