生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

宿直の定義と実態の解離

久しぶりに術後胃でないERCPをした。ちょっと難渋したが、膵管ガイドワイヤー法を用いて、deep cannulationに成功した。ESTを行い、採石をしたところで患者が暴れ出した。

鎮静剤を追加しておとなしくなったが、今度は酸素飽和度が落ちだした。さっさと結石をとって終わったが、酸素飽和度がなかなか戻らない。rapid response teamが呼ばれて色々対応してくれて酸素飽和度が改善した。

過鎮静に加えて、お腹のでかい人だったので、腹臥位の影響で呼吸状態が悪くなったとも割れる。ひやっとした。集中治療室に入ったがすぐに改善したため、その日のうちに出された。夜、部屋に行ったらいびきをかいてまた寝ていた。

 

病院で時間外労働縮減に向けて取り組めという冊子が配られた。休日に出勤した場合は振り替え休日をとれとか、当直明けは午前中に帰宅しろとか、できればそうしたいけど、無理でしょうということが色々書いてある。

学会発表や論文作成は自主的研究活動なので、時間外労働には当たらないと記載があるが、うちの科は部長に強制されて発表している者が多いので、これは納得いかない。

また平日の当直の場合、0:00~8:45は宿直として時間外に換算されないが、これも問題だ。

労働基準法では、医師の宿直は以下のように定義されている。

 

医師、看護師等の宿直の許可基準(一般的基準の取扱い細目)

(1)  通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。
(2)  夜間に従事する業務は、一般の宿直業務以外に、病院の定時巡回、異常事態の報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温等、特殊の措置を必要としない軽度の、又は短時間の業務に限ること。
(応急患者の診療又は入院、患者の死亡、出産等があり、昼間と同態様の労働に従事することが常態であるようなものは許可しない。)
(3)  夜間に十分睡眠がとりうること。
(4)  許可を得て宿直を行う場合に、(2)のカッコ内のような労働が稀にあっても許可を取り消さないが、その時間については労働基準法第33条、第36条による時間外労働の手続を行い、同法第37条の割増賃金を支払うこと。

 

まず(1)だが、通常の勤務時間の拘束から完全に解放されてはいない。5時に仕事が終わっている方が逆に珍しい。

一番の問題は(2)だ。救急病院で特殊の措置を必要としない短時間の業務で済む当直などほとんどない。夜中に血を吐いた人がいたら内視鏡をしないといけないし、胆管炎も緊急ドレナージが必要なこともある。処置が不要な入院でも、入院の段取りをして指示を出すだけで結構時間をとられる。

(3)もそうだ。十分睡眠がとれたことなどほとんどない。当直室の空調はひどいし、壁がしょぼくて隣どころか近くの部屋の電話も丸聞こえ(レOパOスのコピペのような状態)だし、呼ばれなくてもいつ呼ばれるかという緊張感で熟睡はできない。

 

今日のカンファレンスでもこの話になり、上層部はどこまで本気で時間外を減らしたいのか?という意見が出た。実際、定員をもっと増やさないとこんなことは無理だ。おそらく、先日聖路加病院に労働基準監督署が入った件が影響しているのだろう。

人件費を削りたいというのが本音だというのは透けて見えている。残業をしても近隣の病院よりも給料は決して良くない(むしろ安い)。大病院ゆえ給料が安くても医師が集まるからそれに胡坐をかいているのだろう。都会に行けば行くほど、病院の規模が大きくなればなるほど、給料は反比例して安くなる。

 

「はい、時間が来ましたので、処置は途中ですが終了します。続きはまた明日。」

こんな時代が来るのだろうか。

 

今日の体重は76.2㎏。最近、夕食は糖質をカット(具体的には米を食べない)しているが、カンファの日だけは弁当が出るため、例外にしている(食べ物を残すのは大嫌いなので、残すくらいなら食べる)。今日は寿司が出た。かなり旨かった。

首はまだ痛いが、だいぶましになった。さすがに懸垂は怖いのでやらなかったが、恐る恐るディップスをやってみたら大丈夫だった。しかし、1週間弱休んだだけで、筋力は堕ちるものだ。15㎏荷重して10回できるようになっていたのに、今日は8回しかできなかった。