生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

レールから外れたっていいじゃない

ネットの記事でこんなのを見かけた。

31歳の同級生がいる女子大生「なんで大学なんか来るの?ウザいんだけど」

 

‥こういう記事を見ると、いまだに心を抉られて、切ない気持ちになる。

日本ではレールから外れたものに対して非常に厳しい。勿論外れない方がいいんだけど、もう少し多様性があってもいいと思うが‥。

学ぶべき時に学ばなかったのは自業自得だが、でもいくつになっても学ぶ気持ちがあるというのは素晴らしいことではないか。目的意識もなく、惰性で大学に行くよりよっぽど価値がある。

なぜ自分の価値観と合わない人間に敵意を向けるのか。無関心でいいではないか。

 

今日は大腸のESDを行った。S状結腸のLSTで、前回別の医師がEMRを試みたが、non liftingとなり、とれないため仕切り直してESDをすることとなった。

最初の局注の浮きはまあまあだったからいけるかと思ったが、線維化がsevereであり、トンネルを掘るどころか潜り込めず。早々にhybrid ESDの方針としたが、延々線維化が続いた。何とか穴をあけずにスネアリングできたが、剥離時に病変ごと削ってしまい、どんどん小さくなっていった。これまでやった中でトップクラスに難しかった。

 

今日の朝、腹痛で入院した患者が当たった。腸炎疑いであったが、痛みが強い。朝にERでCT、昼にUSをとったが、骨盤内に炎症があり、PIDが疑われた。free airはなかった。主治医である後輩から夕方電話があり、痛み止めをいろいろ使っても痛みが続くと相談されたので、念のため単純CTを撮ってfree airだけ見とこかと言った。

カプセル内視鏡読影をしながら、CTをざっとみて、あー大丈夫やなと思ったら、後輩からfree airがありますと電話あり。えっと思い、よく見ると確かにfree airがあった。大丈夫だろうという先入観で見てしまっていた。外科にコンサルトし、緊急手術となった。一人で担当していればCTを撮っていたかどうか。

 

査読に回ってきた論文を読んだ。正直、あまり珍しくないと僕は思ったが、本文中に世界初、世界初と何度も書いており、食傷気味だった(といいつつ、僕も世界初をアピールした論文を書いたことがある。うざかったろうなと反省した)。

以前、ある研究会で、飲み込んだ義歯を大腸で回収したが、報告がほとんどないので非常にレアケースだという発表を見た。え、それは皆報告してないだけで、実際珍しくないやろ、現に僕自身も取ったことあるしと思ったが、同じことを感じた人が何人かいたみたいで、それは報告していないだけでしょう、私自身経験がありますしという質問が複数なされた。

上記論文を読んで、この時と同じ印象を抱いた。実際、他科の疾患でもあるので、その科の先生にこれって珍しいですか?と聞いてみたら、別に珍しくないとの意見であった。

 

話しは変わるが、部分義歯はなんであんなにいかつい形をしているのだろう。

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いつも思うけど、こんなもんよう飲み込むわ。がっちり噛みこんで内視鏡でとれないこともあり、手術でとったことも何回かある。

 

何回か読み返して、少し資料も読んでみるが、上記論文はrejectとする可能性が高い。論文を書くのは結構大変で、その労力を思うと、すべてacceptとしたいが、そうもいかない。最も僕自身、editor kickも何回か食らっているので、ダメなものはダメとせざるを得ない。

 

今日の体重は74.9㎏。スクワットを軽くした。