生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

消化器内科を選んだ理由

仕事が忙しいせいか、今週はメニエール病の症状が強く出た。月曜日は寝る前にdizziness(浮遊感)がひどく、吐き気もあった。メニエールのめまいはvertigo(回転性めまい)と習った気がするが、違う病気なのだろうか。耳閉感はずっとあるが、今日家に帰ってきて、期限切れのイソバイド(医師としてどうかと思うが)を飲んでゆっくりしたら改善傾向となった。

‥仕事いやいや病なのだろうか。

 

唐突だが、消化器内科医を目指した転機について書いてみる

医師を目指すことになった転機は複雑で、クリアーカットには書けそうにない。それに比して消化器内科を志望した動機はより単純であるので、それを書いてみようと思う。

安吾の言葉に貫かれた

医学部入学前~入学後しばらくは精神科医になりたかった。

精神病者は自らの動物と闘い破れた敗残者であるかもしれないが、一般人は、自らの動物と闘い争うことを忘れ、恬として内省なく、動物の上に安住している人々である。」

坂口安吾が「精神病覚え書」で書いた上記内容に全身を貫かれ、強く共感し、精神科医を志した。しかし、諸事情で精神科への道は断念した。

高校をダブっていたころや浪人していたころはそれなりに闘い懊悩したが、おっさんになって自分の中の動物と闘うことはあまりなくなり、慣れ合うようになった。安吾からみれば唾棄すべき存在だろう。

診断が楽しくて神経内科を志望

つぎに志したのは神経内科であった。症状から理詰めで診断がつく(少なくとも国試レベルでは)のが楽しかった。その思いは大学を卒業してからもしばらく持続していた。

初期研修2年は市中病院を選んだ。今は珍しくないが、僕が研修医になった2002年にはまだ少数派であった。研修終了後に神経内科へ進まなかったのは、神経内科が嫌になったというよりも、色々な科を回ってより魅力的な科ができたからだ。それが消化器内科であった。

胃カメラとの出会い ~ごっつおもろい~

研修医1年目で消化器内科を回った当初は正直あまり興味がなく、同時に回った神経内科の方が楽しみであった。僕が研修した病院は中規模病院であり、また緩い時代であったため、研修医にも胃カメラをさせてくれた。

胃カメラは非常に面白かった。勿論最初は下手だが、日進月歩で上達し、少しずつ自分の手足のように動かせるようになるにつれ、ますますのめりこんでいった。4か月で消化器内科の研修は終わったが、他科を回っている時も暇を見つけては胃カメラをしに行っていた(途中で今回っている科に集中しろと怒られたけど)。

当直室での密会 貞操の危機? 

研修2年目も半分が過ぎ、研修終了後の進路を決めないといけなくなった時、消化器内科の部長から呼び出された。当直室に来るように言われたため、貞操の危険を感じたら拳で身を守らねばと気合を入れて行ったが、そこで来年消化器内科の後期研修医(3~5年目)を受けないか?と誘われた。

内視鏡が面白く、これは生涯の仕事にできそうだと思えたこともあり、他院に落ちたこともあるが、結局そのまま後期研修医として残ることにした。

その後回った循環器内科もカテーテルをさせてくれて楽しかったが(心筋梗塞の緊急カテに術者として入ったこともある)、回ったのが後期研修医の試験後であったので、これが試験前であったら消化器と循環器で悩んでいたと思う。

消化器内科を選んだ転機 

内視鏡が誘い、部長が密室で熱心に誘ってくれたことが心をあけ放った。

ラオウケンシロウがユリアの感情を取り戻させた時の描写を借りた。これが転機だ。口や肛門に棒突っ込んで、下品で汚い科だと他科の先生に揶揄されたこともあるし、辛いこともたくさんあったが、この科を選んでよかったと思っている。

部長とは後期研修医になった後、一緒にカナダの学会に行き、同じ部屋に泊まり、また密室で二人きりとなったが、勿論何もなかった。 

mfuku4585.hatenablog.com

しかし、僕と二人きりになりたがることを考えると僕のことが好きだったのかもしれない。

しんどいこともあるが、達成感で疲労も吹き飛ぶ

ESDやERCPといった治療内視鏡は楽しいし、大腸内視鏡は奥深く、まだまだ上達の余地がある。また緊急内視鏡も我々の業務の多くを占めている。今でも夜中緊急で呼び出された時、空いている道を車で走りながら、絶対治してやるとテンションを挙げていくし、緊急内視鏡治療がうまくいった時は達成感があり、脳の中で何かの汁がじゅるじゅる出ている。

この瞬間は自分に酔っているが、それくらいは許してもらってもいいと思っている。

  

#わたしの転機

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今日の体重は76.9㎏。めまいが少し残っていたのでふらふらしながら、ブルガリアンスクワットとピストルスクワットを行った。太ももが水平になるくらいだが、ようやく補助なしでピストルスクワットが何回かできるようになった。