生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

最後の当直@緊急内視鏡×4

先日、研究会があり、そこで異動先にと言われた部長の先生が、僕が大学病院に行くことについてボロカスに言っていたと同僚に教えられた。そういうこともあるかなと思い、研究会には行かなかったが、行かなくて良かった。

また、その部長が自分に相談すれば他の病院を斡旋してやったのに、違う先生経由で大学病院に行くことになったことが気に入らないと言っていたらしいとも聞いた。

‥何回も勧誘の電話をかけられて、1~2年でいいから来てくれ(その後、僕はどうすればいいのでしょう?)とまで言われ、院長からも電話、手紙だけでなく、直接面談に来られているのに、僕はそちらには行きたくないので、他の病院を斡旋してくださいってお願いする? 

‥それは僕が頭おかしすぎるでしょう。他に行きたい病院があるんか?という一言があれば別だが、来い来い一辺倒で全くそんな話は無かったし。

 

上記した部長が、今回の件で当院の部長のやり方が悪いと批判していたらしいが、今回の話のきっかけは異動先が僕を欲しいと言ったからで、やり方がまずいのは異動先の病院の方だ。当院の部長がローテートを提案した時に拒絶しなかったら、こんなことにはなっていない。

辞めるいいきっかけになったとも思うが、色んな人が惜しんでくれるのを聞いて、余計なことをしてほしくなかったという気持ちもある。惜しまれるうちが花かもしれないが、環境を変えるのにはパワーがいる。

 

ここの病院に来るきっかけを作ってくれたのはその部長だが、でもこの話に出てくるのもその先生だ。

mfuku4585.hatenablog.com 

 

この月曜日は最後の当直。17:30にいきなりコンサルトあり。総胆管結石、胆管炎とのこと。ここ最近は通常のERCPより、術後胃のERCPの方が多いが、この病院を離れるとますますERCPをやることは無くなるだろうと思い、あまりに早い時間のコンサルトにテンションは下がりかけたが、逆にテンションをあげてERCPの段取りをした。

ERCP自体は簡単で、胆管炎もあることから造影もあまりせず、ERBDチューブのみを留置した(乳頭到達からERBD留置まで5分ちょいで終わらせてやった)。

 

その後、ERから食道異物のコンサルト。魚骨でCTでもうつっていたが、内視鏡をしても見当たらない。2往復したが見当たらず、穿孔の後もなかった。終了後症状は改善していったので、胃におちたと考えられた(残渣だらけでわからなかったけど)。

 

日付が変わる頃に吐血のコンサルトあり。アルコール性肝硬変がベースにあって、EVLの既往もあり。3次救急に出張して内視鏡を行うと血豆のようなred color signあり(HCS)。見ているうちに血が噴き出した。EVLで止血し、入院させた。

 

2時になったので寝るかと思ったが、1、2時間おきに2件コンサルトあり、ほとんど眠れず。2件ともあやしい胆管炎疑いで蹴散らした。1件は肝胆道系酵素が高く、炎症があって、CTで肝門部の胆管が拡張しているので胆管炎ですとコンサルトされたが、肝胆道系酵素は半年以上前から高く、そこから上昇していないし、腹痛なし。肝門部のみの胆管拡張なんてそもそもあるのかね(戸谷何型?)。胆管炎という結論ありきのこじつけで、実際僕の目には胆管は全く正常に見えた(ちなみに1例目のCTでは、はっきりと総胆管結石がうつっていた)。

 

うとうとしたと思ったら、5時に血便でコンサルト。CTで深部大腸にextravasationありとのことであったが、確かにはっきりとあった。前処置なしで緊急CS。上行結腸にangioectasiaあり、クリップで止血した。

入院を切った後、もう寝られないと思い諦めて、シャワーを浴びた。

 

‥最後の当直で緊急内視鏡4件はきついわ。他の科も忙しかったようで15床以上あった空床がまたたく間に埋まり、止血した最後の人はERで待機となった。

‥幸い午前は食道バルーン拡張のみだけど、午後は胃のESD(2病変)と大腸ESDと大腸EMR(いずれも指導)がある。処置をした当直明けは処置したらあかんはず(メイン術者じゃなければいいのかな?)で、午後は帰ってもいいんちゃうかったっけ? 最後やから野暮なことは言わんけど。奴隷のように働きます。

 

10年以上やったが、本当にこの病院の当直は忙しい当直だった。消化器内科に専念できてこれっちゅうのは恐ろしい。断らない救急で有名なだけのことはある。怖い思いも何回かした。内視鏡中に亡くなった人もいたし、ナース2人と胃静脈瘤にヒストアクリルを打ち込んだりもした。壊死性筋膜炎であっという間に亡くなった人も見た(初見ではなにかわからなかった)。

以前書いたが、肝動脈にクリッピングを試みたこともあった。 

mfuku4585.hatenablog.com

 

反面、他科や救急部のバックアップもしっかりしており、恵まれた当直でもあった。

 

午前中、少しだけでも仮眠をしておこうと思うが、意外とデリケート脆弱なだけな僕はそういう時に眠れなかったりする(笑。