生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

理想論をぶちまけるのはさぞ気持ちいいだろうよ

昨日の当直も結構忙しく、救急搬送依頼が8台あった(いくつか断ったけど)。病棟で亡くなった患者もいた(最近毎週死亡診断書を書いている)。

ひどかったのが夜中2時半過ぎの搬送で、酔っ払いが呼吸苦を訴えて救急車をコールした。酸素飽和度は室内気で98%と全く正常で、これまでも酒を飲んでは同主訴で救急車を呼んでいる常連とのこと。

こんなのを診ないといけないのかとうんざりしたが、とりあえず受けた。僕の未熟さ故、救急隊に優しくできず、ぶっきらぼうに受けてしまうが(救急隊が悪くないのは重々理解しているが‥)、今回は「ほんまはこんなん、断りたいですわ。」と言っても仕方ないのは重々承知の上言ってしまった。

 

酒の臭いをぷんぷんさせて、支離滅裂なことをまくしたていた。死にたいやら夜寝られへんと言った時は何かが切れそうになったが、ぐっとこらえた。

死にたい人が救急車を呼ぶわけないので、本音ではないとはわかっているが、それでも苛立ちは抑えきれず。夜寝られへん? まさにあんたのせいで今わしが寝られへんわと歯の隙間から漏れそうになったがぐっと食いしばり、夜は寝るもんやから布団でじっとしときなはれというにとどめた。

心がないと思われるかもしれないが、少し前に読んだ「医者とはどういう職業か」に「心」をナントカの一つ覚えのごとく強調するのはド素人のすることであり、プロはいかにして適切な距離を保つか、に腐心しなければならない、とあったが、完全に同意する。患者に対して身内のようにのめりこむのは危険だと常々思っていて、意図して距離を取るようにしていた。

 

その本にはこうもあった。

「担当医と折り合いが悪くて、一度医者を替える患者は、アリである。ただし、二度医者を替える患者は、絶対に患者の方に問題がある。」

二度目の医師が相当おかしいという不運な例も少数ながらあるだろうが、基本的に同意する。ドクターショッピングを繰り返す患者は問題のある人が多い。一度勝手に去って行って、色々な病院をめぐってまた舞い戻ってきた患者がいた。

来るもの拒まず、去る者追わずが基本方針だが、よう来れたなとその厚顔無恥っぷりに正直あきれ果ててしまった。

 

上記した患者は酸素飽和度は全く問題なく、念のためとった胸部X線写真も前日(前日も来ていた)と全く変化なし。朝までERで待機をさせようとしたがそれはだめだと。一人で帰れそうもないので、社会的入院をさせようかとしたが、それもナースが渋る。結局タクシーを呼んで、自宅でお金を払ってもらうこととした。

大学にうつって肝臓疾患や膵臓疾患を診る機会が激減したが、それまではアルコール性肝障害やアルコール性膵炎に苦しめられた。まさかバイトでまたアルコールに苦しめられるとは。イスラム圏ではアルコールが禁止されているところもあるが、自分自身が飲まないせいか、素晴らしい文化だと思ってしまう。いずれにせよ、限度を越えず、他人に迷惑をかけずに飲んでほしい。

 

前病院では病床がいっぱいで朝までERで待機ということがざらだった。前病院は救急で有名でテレビでもERが時々取り上げられているくらいだから、マンパワーも充実しており、朝までER待機が可能であったのであろう。

救急部がまず救急対応をするため、上記のような救急と言えない疾患は大体ブロックされ、我々にコンサルトされなかった。内科一人、外科一人当直の2次救急病院(しかも無い科が多い)で内科外科合わせて一晩で救急車10台以上を捌くのは明らかに過剰業務だ。ナースも2人しかいない。

上層部や経営側は理想と現実の乖離に目を向けるべきだが、現場を知らないものは理想論を追いがちだ(日本有数のERを持つ前病院もそれは例外ではない)。現場で這いずり回って苦しむのは下っ端の役目だ。理想論をぶちかます自分に酔うのは勝手だが、自涜はひっそりとやってほしい(笑。

 

今日の体重は77.5㎏。月曜日に病院に行き、ざっと仕事をした後、息子と天下一品に行ったが、順調に減っている。体に悪いのはわかっているが、天下一品の汁だけは飲み干してしまう。