生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

玉川先生、是非手技のレクチャーを

news.livedoor.com

 

以下引用。

『玉川氏は19日の放送でPCR検査について「精度が7割くらいと言われているが、本当にウイルスがあったら100%近く感度があるはず。7割くらいの精度に落ちているのは、取った場所にいないとか、取り方がいまひとつうまくいなかったとか、手技とか取る場所の部分に依存しているのが大きいと思う」といった発言をした。

 これがあたかも医療従事者の技量不足といっているかのようにも受け取られ、ネット上で批判にさらされている。

 細野議員もこの発言に怒り心頭の様子で「玉川氏は常にテレビでコメントできる特権的な立場にある。平時は色んな意見があっていいと思うが、有事に専門外の人間が付け焼刃の発言をして現場を混乱させるのは本当に困る。考えてもらった方が良いと思う」と強い口調で批判。さらに「東日本大震災後の彼の無責任な発言には本当に苦労した」と付け加えた。』

 

モナ夫いいこというやん。玉川はたまにいいことも言うけど、思いついたことをあんまり考えずにそのまま言うことが多い印象。そんな大人は多いし、自分もそうだけど、それをテレビというかつてほどではないにせよ影響力、発信力の強い媒体を介してやるから炎上する。

 

玉川は精度が70%と言っているが、精度ではなく感度だ。前も書いたが、感度とは病気がある人が検査で陽性とでる割合のことでこれが70%ということは1000人に300人は病気があるのに陰性となってしまう(偽陰性)。

感度が高い=偽陰性が少ない=陰性は信頼できる

新型コロナのPCRの感度は70%だが、特異度は99.9%と高い。特異度とは病気がない人が検査で陰性と出る割合のことで、この場合、病気がない人1000人を検査した際、1人だけ陽性と出る(偽陽性)。

特異度が高い=偽陽性が少ない=陽性は信頼できる

つまりこの検査は陽性と出たらほぼ間違いないが、陰性であっても否定しきれないという検査になる。理想は感度特異度ともに100%の検査だが、そんな検査は存在しない。

 

自分の復習がてら例を挙げる。

CEAという腺癌の腫瘍マーカーがあり、これは5ng/ml以上で陽性とされている。実際、この検査は精査のきっかけにはなっても、これで癌を診断することはないし(胃癌は上がらないことも多い)、ちょっと高いだけでドックから精査で回ってくると、またかとうんざりする。が、分かりやすい例としてこれを使う。

CEAは喫煙でも上がるし、理由なく上がっていることもある。それゆえ5を越えたからといって皆癌があるかというとそんなことはなく、むしろそうでない人の方が多い(それゆえ検診で用いることに批判がある)。つまり偽陽性がおおいので特異度はかなり低い。

じゃあ、20ng/ml以上で陽性としてみる。その場合、陽性例で癌の比率は上がる(=特異度が上がる)が、10台の癌が引っかからないので偽陰性が増える。つまり感度が下がる。

SLEという病気(膠原病の1種)では抗核抗体が陽性のことが多い(=感度が高い)が、抗核抗体はいろんな病気であがる(=特異度は低い)。また抗Sm抗体という検査はSLEで上がる率は高くないが(=感度は低い)、まずSLEでしか上がらないので陽性であればSLEの可能性は高い(特異度が高い)。

自分でも時々感度特異度がごちゃごちゃになるので整理してみた。

 

僕も1例PCRをやったが、玉川大先生のおっしゃられるとおりであれば手技が悪かったのだろう。結構奥まで突っ込んでこねこねしたんだけどな。下手ですいません。そこまで言うなら、是非検出感度を上げる採取の仕方をレクチャーしてほしいものだ。

 

次は検査を絞った方がいい説を復習がてら勉強してみようと思う。