生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

初RIC

今日の大腸内視鏡バイトは4件。調子はまあまあで良くも悪くもない。コロナの感染者増が止まらず、大学病院派遣のバイトが停止しているところもある。僕が昨年行っていた病院も当直のみとなり、内視鏡はストップした。今のところ、僕が行っている病院はバイト停止になっていないが、停止するといろいろと困る。

この期に及んでGO TOがまだ止まらない。政府は感染蔓延の原因がGO TOではないと考えているのかもしれないが、こんなものは悪魔の証明(意味違うかな?)で、旅行や飲食を必要以上に煽る必要はないと思う。

医療崩壊の危機はひたひたと忍び寄ってきており、僕のようなCOVID-19の非専門医でも実感しつつある。COVID-19患者は各科で対応するようにとのお触れも出た。COVID-19患者の有無にかかわらず、我々が治療すべき患者(癌も含まれる)は減少しない。

 

そんな中食道狭窄を来した人にRICを行った。ほぼ全周の早期食道癌で、昨年なんとか一筋残して切除したが、残念ながらsm浸潤、脈管侵襲があり、追加治療適応であった。ステロイドを局注した上に飲ませたおかげで狭窄なく切除後潰瘍は治癒したが、追加で放射線化学療法を行った後、厳しい狭窄を来した。

バルーン拡張を10回くらい行ったが、再狭窄を繰り返した。そのため食道ステントを留置したが、口側に脱落してしまっていた(壁に一部めり込んでおり、抜くのが怖かった)。狭窄はちょっとましになったが残存していた。RICは知識としては知っていたものの見たこともやったこともなかったが、トライすることにした。

 

来週に迫った学会発表(主題なので会場に行くことになった。行きたくねえ)も無事やっつけで作ったので、パワーポイントでシェーマを作ってみた。

食道癌に内視鏡的切除を行った場合、病変が3/4周を越えると治癒時に高率に狭窄を来す。予防でステロイドを局注したり、飲ませたりするが、それでも狭窄した場合、バルーン拡張を行う(僕らはステント留置も行ったが、これは一般的ではない)。バルーン拡張が不成功の場合に考え出されたのがRIC法だ。

 

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正直POEM同様手技としてはそんなに難しくないように思えるが、問題はどこまで切除すればいいのかという匙加減だ(POEMもそう)。たまたま前の日に別の患者に行われていたので一度見ることが出来た。

実際自分でやってみると難しくはないが、初めての手技でビビっていたせいか、ナイフの引っ掛かりが浅くなり、思ったより時間がかかった。それでもなんとか内視鏡が通るところまでは切除出来た。今のところ、大きな偶発症は認めていない。

かれこれ一年近く狭窄と闘っており、そろそろ何とかしてあげたい。うまくいってほしい。