生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

止まらなかった潰瘍出血の思い出

先週末に肝癌の人にTAIを行い、今週RFAを行った。術者は僕だが肝臓専門の上級医の言われるがままに行った。

‥僕も一応肝臓専門医ではあるんだけど、肝臓が専門とは到底言えない。試験にさえ受かれば誰でもなれてしまう。

しかし、肝臓癌は本当に減った。進行が速くないことが多いとはいえ、癌であるため亡くなる人も多いし、C肝がほぼ治るようになってきたのもある。

今日効果判定のCTをとったら、肝癌はしっかり治療されていて、viable lesionは認めなかった。よかったよかった。

 

10年以上前、年末の日当直を決める際、誰かが2回しないといけないが、その代わりに好きな場所を優先的に選べるとのことで、僕はその権利を行使し、12月30日、31日の日直を選択した。

僕の印象に過ぎないけど、9時~17時の日直の方が17時~9時の当直より拘束は短いにも関わらず、忙しいことが多い気がする。そのため最近は当直を選択することが多いが、その時は拘束時間が短い方がよいと考えた。それが間違いだった。

30日の日直は9時の開始時にいきなりコンサルトあり。肝移植後で入院中の患者が黒色便、貧血進行を認めるとのことで、上部消化管内視鏡を行ったところ、十二指腸に大量の血液があり、球部後壁に潰瘍を認めそこから出血していた。

APC、HSE、クリップを用いたが、血が一瞬弱まるものの全く止血されない。大量に輸血しながら1時間以上止血を行ったが止まらないため、アンギオに移行した。

アンギオを行ってみると肝動脈から出血しており、十二指腸潰瘍が穿破して肝臓表面が見えていたと考えられた。普通はコイルで止血するが、そうすると肝切除をやむなくされるため、放射線科Dr.がバルーンで一時止血を行い、手術へ移行した。そのおかげで肝切は免れて、幽門側胃切除だけですんだ。肝表面にクリップがかかっていたとのことであった。

 

その日は他の件でもひっきりなしに呼ばれ続け、水を飲む暇すらなく終了の17時が過ぎていた。あの日は本当にしんどかった。10年以上前だが、絶望的な気持ちは今でもまあまあ鮮明に思い出せる。

31日もここまでではなかったが、内視鏡を数件やり結構忙しかった。それ以降、多くなる代わりに自分で好きなところを選べる時でも、立候補することをやめた。

今週、この患者さんが内視鏡を受けに来て、たまたま僕の部屋に当たったので、この出来事を思い出した。とても元気そうだった。

 

今日の体重は74.7㎏。普段はここまでお腹が減らないのだけど、今日の夜は空腹を強く感じる。今、ラーメン食ったらめちゃくちゃ美味いんやろなあ。インスタント味噌汁を作って飲んだが、完全に空腹は消えず。さっさと寝てしまおう。