生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

難しい病状説明

今日の外来は50人弱。予定で行うつもりであったDB-ERCP患者が、週末緊急入院となり、本日行うこととなったため、昼休みも使って紹介状を作成し(6通あった)、4時前に終わらせた。

DB-ERCPは1時間ちょいで終了。その後、先週から懸念していた気が重い病状説明へ。ざっくり言うと、僕が定期フォローしていた人が、僕が見ている病気をベースとしない進行癌が急速に進展し、見つかった時には最も悪いステージになってしまっていた。

僕の外来に最後に来た時に行った画像検査ではまったく異常がなく、採血もほぼ問題なかったが、数か月後の画像では多発転移を認めた。入院ではその病気を専門とする医師と専攻医が担当となった(これ自体はよくあることで、逆に小腸やESDなら僕が主治医となることもある)。

その後腫瘍内科で化学療法が行われていたが、いきなり最悪のステージで見つかったことがなかなか受け入れ難かったようで、いろんな担当医が画像を見せて、急速に進行しており、以前の画像では異常がなかったことを説明していたが、直接僕の話を聞きたいと希望された。

いっそ、僕が見逃したり、検査を怠っていれば、話は単純だ。謝罪するしかない。しかし、今回はやるべき検査は行われており、また僕の外来を最後に受診した段階では、その疾患を疑うことはできず、仮に追加検査を行っていても異常を検出できなかった可能性の方が高い。

家人もそれはわかっているのだろうが、それでもずっとかかっていたのにどうして?と割り切れない気持ちになるのは理解できなくはない。

 

病院にかかっているから安心というのは、幻想だ。予防できる病気と予防できない病気があるし、病院にかかっているから早期発見が可能とは限らない。病気がないのに、病気を探す検査をすると保険適用外となることが多い(PET検査は悪性腫瘍の病名がないと保険適応とならないし、腫瘍マーカーもよく査定される)。

そうはいっても、自分の領域くらいはと思い、症状がなくても内視鏡と腹部エコーくらいは勧めるようにはしている。時々、頭が心配だからといってCTを撮ってくれやら肺癌が心配だから胸のCTを撮ってくれなどといわれたりすることがあるが、これは本来、人間ドックで受けるべきことだ。

 

行うべき検査は行っており、今回のような経過は想定外であることを伝え、正直驚いたと伝えた。それ以上は理詰めで説明することはせず、傾聴に専念した。実際、言いたいことはよくわかるし、それは表明した。

一応理解はしていただいたが、本人はしんどいとのことで同席しなかったので、後日本人にはベッドサイドで伝えることにした。

どうすればよかったのかと考えたが、やはりこれ以上のことはできず、他の医師の意見も同様であった。不幸な転帰だ。

癌の告知や、末期癌の人にCPRのコードを聞くのも精神的にストレスフルだが、今回は少し質が違うものの、やはりストレスフルだった。

 

月曜日は外来日で大体早く終われるので、ジムに行くことが多い。今日は上記理由で少し遅かったが、運動することで発散したかったので、気合を入れてジムへ。体重は75.5㎏だった。