生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

24時間365日?

ラーメン屋でラーメンを食べて帰った後、1時過ぎまでウィッチャー3をして寝た。2時21分に病院からコールあり、昼間に入院となった消化管出血の人のPEGから血性排液あり、頻脈となったため、再出血が疑われるとのことであった。

夜中の道は空いていたが、いつもと違い今日はセレナであるため、あまりスピードも出さずに(それでも電話から20分ほどで)到着した。

 

EGDを行うと、血液貯留はあるが新鮮血は認めず、止血後たまっていたものが出ただけと考えられた。観察のみで終了。

ファーストの専攻医に今日は病院に泊るから、また呼ばれたら言ってと言い、3時過ぎに当直室へ。止血していないとはいえ、アドレナリンが出てしまって軽い興奮状態のため、眠気が来ない。

眠れないので、今読んでいる「ダークツーリスト」を読んだ。安全なところしか旅行に行っていないと思っていたが、昨年行ったセブ島の闇の部分も掲載されていて、興味深い。夜遅いのでクレイジージャーニーはあまり見ていないが、この本にも取り上げられているルーマニアのマンホールタウンの回は見ていた。

 

いつのまにか寝てしまっていたが、5時42分に院内PHSにコールあり。食道静脈瘤破裂のエピソードがある人が再度吐血して搬送されてきており、ショックバイタルなのでERで内視鏡をしますとのことであった。全て準備ができてから電話してくるあたりそつがない。日本一のN高出身者はやはり優秀だ(大学の同級生には変人もいたけど)。

 

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昔、昼のオンコール中に処置をして帰って、また呼ばれてを繰り返して病院を3往復したことがあるので、それ以降は昼のオンコールは病院に待機し(今は日直になったが、僕に関してはほとんど変わらず)、夜のオンコールは12時近くまでは病院にいて、帰った後に呼ばれたら病院に泊ることにしている。

 

食道静脈瘤の患者は他院かかりつけだが、吐血の際は当院に運ばれてくる。今回で3回目の搬送。救急隊はかかりつけに搬送をまず依頼していたが、さくっと断っていた。

その理由が

医師不在

であった。

いやいや、それをいうたら僕らもオンコールで、医師不在よ。こんなことはしょっちゅうだが、僕らが止血している時に安眠を貪っているかと思うと、少しいらっとした。

 

その病院は2次救急病院であるので、十分対応可能と思われる。その病院のホームページから抜粋。

わたしたちは急性期医療の原点は救急医療にあると考え(中略)24時間365日体制で活動しながら、急性期医療を必要とする多くの患者様を一人でも救いたいと考えています。

‥うそやん、24時間対応してないやん。大風呂敷広げんでええから、少なくとも自分らが診てる患者くらい診ようや。

 

内視鏡を入れてみると、SCJの少し口側から噴出性に出血しており、出血点の同定は容易だったが、静脈瘤がほとんどない。治療を繰り返した後の隙間から出血しているF0 varixで、正直嫌な予感がした。

胃の噴門部のF0 varixはまだO-ringがかかりやすいが、隙間からの出血の場合、周囲が硬くなってしまってO-ringがかからないことがある。案の定、吸引してもフード内に引き込まれず、O-ringがかからなかった。さらに近傍が裂けて、出血は増量した。

ASパラ打ちに切り替えて治療することにしたが、出血が多くなかなか局注が入らない。血圧も低下し、視野も取れなくなってきたため、ここで後輩からバトンタッチした。幸い裂孔ヘルニアがしっかりあるため、スコープを反転させ、ヘルニア内に入って肛門側から局注をした。クワーデルを作るのが難しかったが、なんとか作った。

順方向に戻し、さらにクワーデルを作ったが、血管が裂けたようになっており、出血は弱まったものの、完全には止血を得られず。クリップを追加して何とか止血できた。終わった時にはほぼ1時間近く経過していた。

 

完全にアドレナリンが噴出し、かかりつけへの憤りもあり、全く眠気なし。しかたないのでブログでカタルシス(笑。

3次救急病院という名のなんでも病院(うちの病院のお偉いさん曰く、どんなにしょぼくても転送を言われたら3次扱いになるんだって)でがんばれるのも後何年だろうか。

 

只今8時20分。もう少ししたら帰ろう。