生きよ 堕ちよ

高校留年~プータロー~文系大学~再受験し医師~内視鏡に魅せられ消化器内科へ

レベル1の装備で…

今日は外勤の日。何とかまだなくなっていないが、大腸内視鏡2件のみで終了。使ったN95(今日のは小さかった)は大事に持って帰った。帰りに大学によって気になる患者(下記の患者)を診て帰宅した。

 

連休最終日の水曜日は日当直だった。昼前に医事課から電話がかかってきて、地元のレストランが医療従事者に食事の差し入れをしてくれてますがどうですか?と言われたので、二つ返事でもらいに行った。

この界隈で有名なレストラン(何回か行ったことある)のステーキ弁当で美味しくいただいた。コロナウィルスの最前線で闘っている医療従事者への差し入れと解釈したが、正直この病院は救急をバンバン受ける病院ではなく、なんか申し訳ない気持ちになった。

その日の日当直も穏やかであった。報道では新型コロナの影響で救急搬送自体減っているとのことだが、自粛で外へ出る機会が減り、新型コロナ以外の感染症や外傷も減っているのだろう。

 

当直明けにそのまま大学病院へ。世間はまだGWなのかと思いきや、車は結構混んでいた。緊急事態宣言は延期されたが、業務再開しているところは多いのだろう。確かにコロナにかからなくても経済的に追い込まれる可能性がある。飲食ほど悲惨ではないが、我々も他人事ではなく、バイトは減っているし、ボーナスがなくなるのでは?と言われている。

病院に着くと、緊急患者が複数当たっており、そのうちの一人が新型コロナ肺炎疑いであった。癌の術後補助化学療法を僕が行った人で、終了後元の科に返していたが、GW中に発熱で受診し、肺炎像があったため入院となっていた。

この大学病院にもERはあるが、北米型ER(ERがすべての救急患者をまず診て対応する)を採用しておらず、いきなりその科に連絡が来たりする。この人もそうだったようで、当直医がdispositonに困り、そのまま当科で入院させたらしい(後でその先生に謝られた)。前病院の北米型ERは忙しそうだったが、ERとしては数段上だ。

 

僕はもう終診にしていたので本来なら手術をした科が診るべきだし、本当に新型コロナ肺炎ならなおさら我々が診るのはおかしいと思ったが、とりあえずPCRを確認してから考えることとした。新型コロナの最前線に立っていない癖に食べたステーキ弁当の分くらいは最前線に立とうと思ったのもある。

PCRをするからと病棟に呼ばれて行ったら、僕しかおらず、若手は呼ばれていなかった。自分が診てた人だしやるかと思い、言われるがままに準備をした。

まずぺらいナイロンガウンを着て、次に渡されたのがこれ。

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‥新型コロナと闘うには貧弱すぎるやろ。N95はないんですか?と聞いたが、出てこなかった。このサージカルマスクに何の防御効果があんねん。しかも、検査時ってエアロゾル発生のリスクめっちゃ高いやろう。せめてフルフェイスのシールドを用意してよ。

なぜかご丁寧にキャップが出てきて被らされた(そんなんいらんからN95を‥)。次の言葉も衝撃だった。

「では部屋にお一人で入ってもらって、検査後ドアから綿棒を出してもらい、そのまま部屋の中ですべて脱いで出てきてください。

‥ほんまに新型コロナ肺炎やったら部屋の中ウィルス充満してるんちゃうの?大丈夫なん、それ。

とにかくこの場にいる誰もが新型コロナの対応についてよくわかっていないことは把握した。ごちゃごちゃ言っても始まらん、まずは検査やと思い、ひのきの棒と旅人の服レベルの装備で部屋に突入した。

挨拶をして、体調について聞いたら、まあまあよさそうだった。呼吸苦もない。ただ熱は結構高かった。長居は無用であるため、正面を向かせて、横から鼻に綿棒を突っ込んだ。くしゃみをさせたくないが、しっかりと検査をしたいので、まあまあこねこねした。

少しだけ開けられたドアから綿棒を渡し、室内ですべて脱いで外へ。翌日には検査結果が返ってきて陰性であったが、問題はPCRの感度が70%と低いことだ。

感度が70%であるということは感染者1000人のうち700人しか陽性と判定できないということで残りの300人が偽陰性(本当は病気であるのに検査で病気でないと判断されてしまう)となってしまう。

画像は新型コロナ肺炎に典型的な間質性肺炎像ではなかったし、白血球も上がっていた(普通ウィルス感染では上がらない)ので、多分新型コロナ肺炎ではなく、細菌性肺炎なのだろう。今日は元気になっていて、熱も下がり、ご飯をモリモリ食べていた。

 

今日の体重は78.8㎏。体重を測る頻度が減っている。やばい傾向だ。白米がないとのことで玄米がでてきたが、僕は玄米の方が好きなので、我慢しようと思ったが結構食べてしまった。